女性用風俗、略して「女風」。かつては「男娼」と呼ばれ、ひっそりと存在してきたサービスだが、近年は「レズ風俗」の進出など業態が多様化し、注目を集めている。
女性たちは何を求めて女風を利用し、そこから何を得たのか――。
『ルポ 女性用風俗』の著書もあるノンフィクション作家の菅野久美子さんが、現代社会をサバイブする女性たちの心と体の本音に迫るルポ連載。
今回は、ある変わった動機で女性用風俗を利用しているという明美さん(仮名・48歳)のお話を伺います。
私、ちょっと変わった女性用風俗の使い方をしているんです。
私は、今年の春に女性用風俗をテーマにした本を上梓した。それに関連して何度か、著名人を招いて各所でトークイベントを開催することになった。もちろん販促を兼ねたものだが、女性用風俗について幅広い議論を呼び掛ける狙いもあった。
あるイベントでのこと、会場に向かって「取材に協力してくれる方がいらっしゃったらぜひ声を掛けてください」と言うと、さっそく一人の女性が帰り際に話しかけてくれた。見た目は40代後半ぐらいで中肉中背、黒髪のショートカットのごく普通の中年女性だった。
「私、ちょっと変わった女性用風俗の使い方をしているんです。もし良かったら取材に協力してもいいですよ」
「えっ? 変わった使い方って、どんな使い方ですか?」
私が尋ねると女性はちょっと周囲を見渡してから、声を潜めて私にこう耳打ちした。
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つづきは「よみタイ」